相続税還付の考え方は、相続財産に含まれる土地の評価を見直すことで、納め過ぎていた相続税を返してもらおう、というものです。評価を見直す理由としては、土地評価が複雑かつ難しいことが挙げられます。
土地は、その場所から動くものではありません。当たり前ですが、土地そのものが増えたり減ったりしませんし、その土地がある場所によって全然その特性は違います。また、農地や工業地、住宅地など用途も違えば、大都市圏と地方、山林、海の近くなどでは、その土地を取り巻く経済的な位置づけも違います。利用の仕方や周りの環境もそれぞれ違います。
この世の中にひとつとして同じ土地は存在しないため、土地の評価は非常に難しい上に、法律・権利関係も複雑で、正当な評価をすることは土地のプロフェッショナルであっても難しいといわれています。
つまり、土地の評価を見直すことで、評価が変わってくることが十分に考えられるのです。
土地に関する法律・権利関係は複雑怪奇!
ひとつの土地には、建築基準法や都市計画法、農地法や森林法など様々な法律に加え、都道府県の条例や開発指導要綱などの規制があり、それらすべてを完全に把握することは専門家でも容易なことではありません。たった一つの法律を見落としただけでも、土地の評価額には大きな差が出てくるのです。
また、その土地が所有者の名義は誰になっているのか、あるいは借地権、地役権、賃借権などの土地に関する権利が付着しているかどうかによっても評価額は大きく変わってきます。これら全てを理解し、間違いなく評価・算定をしなければ、正しい土地評価はできないのです。
このように土地評価は非常に複雑で難しいのですが、相続税を算定する税理士の中には、税のスペシャリストではあっても、土地鑑定のスペシャリストでない方もいらっしゃいます。土地評価は、不動産の専門家でも難しいのですから、正当な評価をしないまま申告され、高い税金を支払っているケースが多いのです。
相続税は金額が大きいので、何百・何千万円も多く税金を納めている場合もあります。土地の評価を専門家が見直すことで、納付済み相続税が還付される割合が高まるのです。
相続税は、税金を納める人が税務署に申告するという「自己申告制度」をとっています。
専門的知識が必要な土地評価を、やりなれていない当事者が行う、あるいは第三者に委託して評価をしてもらったとしても、その評価額が結果として正しいのか正しくないのかを判断することは専門家であっても非常に難しいのです。
しかも、自己申告制度は「納税者が申告した内容が正しい」という前提ですので、税務署側が再確認して評価をしてくれることはないのです。さらに、相続税の申告期限は、被相続人の死亡から10カ月以内という短い期間に行わなければなりませんので、正しい評価をすることは時間的にも難しい状況であると言えます。